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熊谷守一美術館 [アート]

東京都現代美術館で伊藤公象&メアリー・ブレア展を観た翌日
も午後から都内の美術館巡り。
以前playlogのあるメンバーさんのブログでこの美術館の事を
知り、いつか訪れてみたいと思っていました。



熊谷守一さん(1880生~1977没)は明治から昭和を生きた画家。
文化勲章の内示を「これ以上、人が来るようになっては困る」
と辞退する等、世俗を嫌い日本美術界からも距離を置き
その容貌から”画壇の仙人”と称されたほどだったとか。

そんな守一さんが亡くなるまでの45年間を過ごした旧宅跡地
に1985年、同じく画家・彫刻家である次女の榧(かや)さんに
より私設の美術館として創立。
2007年に全作品を豊島区に寄贈し、現在では豊島区立熊谷守一
美術館となっています。

場所はJR池袋駅で東京メトロ有楽町線に乗り換え一駅目
要町より徒歩10分程。
9月に入ったとはいえ訪れた当日はまだまだ残暑が厳しく
汗だくになりながら閑静な住宅街の中にある現地に到着。
コンクリート打ちっぱなしのシンプルな外観で
美術館の前の大きな欅(ケヤキ)の古木が涼しげです。

小さなカウンターで受付を済ましてすぐ脇にあるガラスの扉
を開けるととそこには1910年代から晩年にかけての油彩画を
中心に30点程の作品が。

黄褐色の背景。
簡略化され、力強い線と面で描かれた動植物たち。

普段の日常生活で何気なく目にするような自然の情景を
一つ一つ丁寧に、慈しむように描いた作品は穏やかで
暖かい雰囲気に満ちています。

中でも印象に残ったのが、肺結核を患い21歳の若さで
亡くなった長女の萬さんの死の翌年に描かれたという
「仏前」(1948)。

黒いお盆の上に供えられた3つの卵。
我が子の死を悼む、深く静謐な悲しみ。

大変な子煩悩だった守一さんは赤貧の中、長女の萬さん
の他に2人の子供を幼くして病気で亡くしたといいます。

展示室の片隅には愛用のチェロや使い込まれたイーゼル
中央には大きな木製のベンチが置かれ、落ち着いた雰囲気
の中で作品を心ゆくまで堪能することができました。

階段を上がった2階の第2展示室には墨絵や書を中心に。
蟻や蜻蛉、蛙などが生き生きと描かれた墨絵は
何度も下書きを繰り返し自分のカタチを追い求めたという
油彩画とは異なり、スピード感のある自由で快活な筆捌き。
書については「余技だから」と画商さんに無償で差し上げて
いたというエピソードも残っているそうです。



1階に併設されているCafe Kayaにて一休み。
地面より1段低く掘り込まれたカフェスペースの窓からは
守一さんが愛した庭を望むことができます。
周囲には絵画や彫刻作品が所狭しと並び、書架には美術書
の山。まるで画家のアトリエにお邪魔しているような優雅な
ひと時。



美術館の正面の壁には守一さんが好んで描いたという自筆に
よる蟻のレリーフが。
大正末期から昭和20年代にかけて、かつて池袋近辺には
若い芸術家を対象とした安価なアトリエ付き借家が100軒以上
も軒を連ね『池袋モンパルナス』と呼ばれていたそうですよ。



購入したポストカード。
代表作の「白猫」(1959)、「櫻」(1968)、
そして油彩画の絶筆「アゲ羽蝶」(1976)。
シンプルでユーモラスな中にも豊かな気品が感じられますね。

大変小さな美術館ですが、それを補って余りあるほどの
魅力的な場所。
機会があれば是非行ってみてください。

 ''豊島区立熊谷守一美術館'' [Link]
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【場所】:東京都豊島区千早2-27-6
【開館時間】:午前10時30分~午後5時30分
【休館日】:毎週月曜日・年末年始

メアリー・ブレア展@東京都現代美術館 [アート]

伊藤公象さんの作品をじっくり堪能した後はこの日
開かれていたもう一つの企画展。
ウォルトディズニー・スタジオの知られざる女性アーティスト
メアリー・ブレア展へと向かいます。



''メアリー・ブレア展'' - ウォルトが信じたひとりの女性。
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【会場】:東京都現代美術館[Link]
【会期】:2009年7月18日(土)~10月4日(日)

まずは展覧会の冒頭、第1ゾーンでは『若き日のメアリー』と題して
カリフォルニア・スタイルと呼ばれる水彩画が、夫リー・ブレアの
作品と共に展示されています。
意外なプロフィールのスタートですね。
しかしながら大胆な色使いと舞台の上の様な明暗を強調した表現に
後のスタイルが見て取れるような気がします。

1929年の世界恐慌の余波を受け安定した収入を得られなかった
彼女らはその後著名なアニメーターである夫の兄プレストン・
ブレアの紹介で当時既に隆盛を極めつつあった
ディズニー・スタジオへ入社。

次の第2ゾーン『ディズニーでの日々』では
「シンデレラ」「ふしぎの国のアリス」「ピーター・パン」等
作品の世界観を決定付けるコンセプト・アートと呼ばれる
彼女が手がけた膨大なイメージスケッチを展示。
素晴らしい!!
ディズニーアニメの夢のような色彩世界は彼女が確立したと
言っても過言ではないのでは?
幻の作品となった「ペネロペと十二ヶ月」と「ベイビー・バレエ」
のコンセプトアートでは季節毎のユニークなキャラクターデザイン
やドガを思わせる愛らしい赤ん坊の踊り手の描写が楽しかった!
未制作に終わったのが悔やまれますね。

他にも彼女がウォルト・ディズニーに注目されるきっかけとなった
南米取材旅行の日記やスケッチの展示では、細かい筆跡や
現地の子供たちの生き生きとした描写に彼女の人となりが表れて
いるようで興味深かったですよ。

第3ゾーンの『ニューヨーク・ニューライフ』では
ディズニー社を離れてフリーランスとなって以降の絵本の挿絵
や広告、商品のパッケージデザインの仕事の数々。
もうファンシーさ爆発!(笑)
実に素敵ですね。

そして最後となる第4ゾーン『スモール&ビッグ』では
ウォルトのたっての願いで引き受けた
「イッツ・ア・スモール・ワールド」のデザイン原画の展示。
ぐるりと円を描くような展示スペースでは複数のプロジェクター
による投影でディズニーランドの名アトラクションを疑似体験です。
メアリーのピースフルな作品世界の集大成ともいえる印象深い
エンディング。
いやー、楽しい展覧会でした!



展覧会を観る前に本展の展示デザイン総合監修者の増田春雄さん
による「展示デザイナーが語る~メアリー・ブレアとの出会い」
と題した特別公演に参加する機会に恵まれたのですが
アメリカ研修時に知り合ったメアリーゆかりの人々との交流など
東京ディズニーランド開園当時にパークの運営管理やデザインに
深く関わった増田さんならではのお話を沢山お聞きする事が
できました。
今回の展示デザインでは展示上の流れを重視するあまりわざわざ
エスカレータを通常の進行方向とは逆向きにするなどの苦労話も。



展示総数約500点。
充実の内容に最後は閉館ぎりぎりの時間となってしまいました。
グッズ売り場は女性陣の争奪戦と化しており早々に断念です。
無理もないか~。

伊藤公象WORKS 1974-2009@東京都現代美術館 [アート]

ここからしばらくは先月9月の大型連休の際に東京で
観てきた展覧会等についての感想を。

連休初日となる9月12日土曜日は始発間もない
新大阪発東京行きの新幹線で移動。
江東区の東京メトロ半蔵門線清澄白河駅から歩いて10分程の
東京都現代美術館に着いたのは早朝9時過ぎです。
この日は丸1日ここで過ごすつもりで気合入りまくり。
朝日が眩しいー。



''伊藤公象 WORKS 1974-2009'' 秩序とカオス
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【会場】:東京都現代美術館[Link]
【会期】:2009年8月1日(土)~10月4日(日)
    会場での展示の様子はこちらから→[Link]

伊藤公象さんは床に配置した無数の陶製のオブジェによる作品
で知られ、日本における現代陶作家のパイオニアのような
方だそうですが実際に目にするのはこの日が初めて。
開館して間もない展示ブースは隣のメアリー・ブレア展
の盛況振りに比べると人影もなく集中してじっくり観れそう。

エントランスでまず出迎える作品が『44の染体』(1976)。
長方形の白い台座に規則正しく置かれた、両手に乗るくらいの
陶製のオブジェ。
チューブから絞り出した黒絵の具を包み込んだような丸い物体は
一つとして同じ形のものはなく無機質にもかかわらず不思議な
生命力のようなものが感じられます。

その横には異なる素材で構成された2つの円が重なり合う
『染体No.3』(1978)。
軽やかなアクリルとマットな陶器の質感との対比が鮮やか。

粘土を薄くスライスした粘土を即興的に手で丸める手法による
多軟面体(たなんめんたい)というシリーズは1970年代から
一貫して製作し続けているそうです。
隣の大きな部屋には同シリーズ最新作『濃紫の多軟面体』(2009)。
1000を超えるピースで埋め尽くされた床。
なんだか深海に群生する未知の生物といった印象を受けました。

一方、明るいアトリウム空間の床に設置されていたのは代表作
『アルミナのエロス(白い固形は…)』(1984/2009)。
純白の立方体がひび割れ崩れ落ちる過程が波紋のように表現
されたこの作品からは一見、一つ一つのピースが無造作に
並べられているようでも実は明確な美意識を持って細心の
注意を払って配置されていることが窺えます。



『土の襞 踊る焼凍土』(2008)
中庭の作品は撮影可でしたので一枚パチリ。
どうでしょう。カオスの中に秩序が垣間見えるでしょうか?
陶土を一度凍らせてから焼くという常識破りの方法により
朽木や流木のような質感が表出。
鮮やかな赤い色は鉄分を多く含む土だからだそうです。

ふと気がついたのがここからだと美術館の窓ガラスに
写りこんだ外の『土の襞~』とガラス越しにみるアトリウム
内の『アルミナのエロス~』の2作品がちょうど先程見た
『染体No.3』のように円が重なってみえること。
そこまで計算して設置してるのかな? 驚きですね。

屋外にはその他、虹色の光を放つ『JEWELの襞』(2002/2009)や
陶器とは思えないようなピンク色が生々しい客土シリーズ
『長石による襞No.2』、ワークショップに参加した一般の人に
よる粘土で作ったオブジェなど美術館の空間を生かした多彩な
作品群は観ていて飽きません。

再び屋内に戻り先に進むと今度は大きな真っ白の空間。
床にはざらざらした土と金属的な輝きのプラチナ釉薬のピース
同士がせめぎ合う『木の肉・土の刃Ⅱ』(1993)。
壁に掛けられた60枚の陶板『土の襞-青い凍結晶』(2007)は
四角い陶製の皿に流し込んだ泥漿を一度凍らせ焼成した作品。
緑青のような皿の表面には鳥の羽とも羊歯の葉の化石ともつかない
様々な幾何学模様が刻まれ、とても自然にできたとは思えない程
の緻密さに目を奪われます。

そして後半、今回の展覧会のハイライトとも言える作品は
斜めのスポットライトに妖しく浮かび上がる
『木の肉・土の刃』(1991)。
ホワイトチョコレートを鉋で削ったような薄く繊細な
エッジの質感。
周囲を廻る歩みに合わせて表情を刻々と変化させる様子は
溜息の出るほど美しいものでした。

この35年間一貫して「有機性」をテーマに製作を続けてきた
という伊藤公象さんは今年で御歳77歳。
敢えて作為を排し自然の成すがままに任せた造形の、無限とも
思える無意識の繰り返しの中に秩序~美を見出すという手法
は新鮮な驚きに満ちていました。
生命の躍動感とは、個の多様な在りようから感じられるもの
なのかもしれませんね。



展覧会を観た後は”タッチ&トーク”というイベントに参加。
作品を前に話し上手の女性の学芸員さんから詳細な解説を
聞く事ができました。
更に展示作品のサンプルを実際に手にとって触ってみることが
可能。
冷んやりした手触りを確かめたり、意外な軽さに驚いたり
と楽しかったです。
記念にワークショップで使ったという粘土を頂きました。



館内のレストランで遅めの昼食は、鮭のグリルとカボチャの
スープに天然酵母の自家製パン。ふーっ、やれやれ。
さてこの後はメアリー・ブレア展に突入です!

noon with SINSKE@Billboard LIVE OSAKA [音楽]

以前Billboard LIVE OSAKAを訪れた時に書いたアンケートが
当選したらしく、ご招待券が送られてきました。
クジ運の悪い私にしたら稀に見る珍事。
とはいっても宝くじを買ったり抽選の類に応募することは
ほとんど無いのですが。



''noon with SINSKE''
     featuring 秋田慎治
     Special Guest 横田明紀男(フライド・プライド)
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【日時】2009年9月14日(月) 21:30
【会場】Billboard LIVE OSAKA
【出演】noon / noon(Vocals)
    SINSKE / sinske(Marinba)
    秋田 慎治 / Shinji Akita(Piano)
    横田 明紀男 / Akio Yokota(Guitar)

さて、当選したのはマリンバ奏者のSINSKEさんを中心に
Jazz Vocalistのnoonさん、Pianoの秋田慎治さんを迎えての
トリオによるライブ。
まず始めはバート・バカラックの名曲『雨にぬれても』で
演奏スタートです。

コロコロと弾むような可愛らしいマリンバの音色に添えられる
秋田慎治さんのピアノ、noonさんの爽やかな歌声がよく
似合いますね。
お三方はこれまで何度か共演経験があるそうで、MCでの
やりとりも実に和やか。

木琴の超ゴージャス版(実物は本当に大きい!上で寝そべれそう)
のようなマリンバはクラシックのコンサート楽器のイメージが
強かったのですがお話によればアフリカ生まれの楽器なのですね。
バントゥー語で”多数の(マ)”+”木の棒(リンバ)”が
その名の由来。

演奏曲はM.Jの『Rock with You』、『ベンのテーマ』
カーペンターズの『Close to You』など多彩なカバー曲を
中心にSINSKEさんのオリジナルを取り混ぜて。

そしてSINSKEさんが
「ゲストなのに既にリーダーの風格」(笑)
というスーパーギタリスト、FriedPriedの横田明紀男さんとの
共演では白熱した演奏を披露。
4本のマレットを手足のように自在に操るSINSKEさんと
まるで掌をガット弦の上で舞う蝶の如く演奏する横田さん。
お二人による『リベルタンゴ』には本当に度肝を抜かれました。
それにしても横田さん、プロレスラー並みの二の腕ですね。

アフリカの草原を思い起こすようなSINSKEさんオリジナル曲の
ソロ演奏『ガーナイヤ』や、しっとりとしたボーカルナンバー
『この道を歩き続けるために』も良かった!

アンコール最後の曲はnoonさんとお二人で『涙そうそう』。
いやー、素晴らしい夜でした。
とても良いライブチケットを頂いてラッキーです。





アルバム名:記憶の扉
アーティスト名:SINSKE(marimba)

ルーヴル美術館展@京都市美術館 [アート]



京都国立近代美術館でウィリアム・ケントリッジ展を観た後は
赤い大鳥居を挟んで向かい側にある京都市美術館で開催していた
ルーヴル美術館展へ。
実はこの日の当初の目的はここで展示されているフェルメールの
作品だったのですがお昼過ぎに着いた頃には既に長蛇の列で入場
50分待ち。
「きっと中は込み合って鑑賞どころじゃないだろうな。
と思い直し、ケントリッジ展を観た後に閉館までの僅かな時間を
見計らっての見学となりました。



''ルーヴル美術館展'' - 17世紀ヨーロッパ絵画 -
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【会場】:京都市美術館(京都・岡崎公園)[Link]
【会期】:2009年6月30日(土)~9月27日(日)

多くの傑出した芸術家を生み出し”黄金の世紀”と呼ばれる
17世紀ヨーロッパの絵画を、ルーブル美術館が誇る71点の
コレクションを元に
「黄金の世紀とその陰」、「大航海と科学革命」、
「聖人の世紀における古代文明の遺産」
の3つのキーワードで読み解く展覧会。
フリップを読みながら順番に観ていけば展覧会の意図する
ところや作品に対する理解も深まるのでしょうが
人の多さに加えて如何せん、時間が残り僅か。
とりあえずはお目当ての作品を優先して観る事に。

レンブラント・ファン・レインの自画像はビロードの
ような黒の着衣に輝く金の鎖のコントラストが美しい。
数多くの自画像を描いているレンブラントですがこの
作品は若々しく自信に満ち溢れた表情をしています。

『リュートを持つ道化師』はフランス・ハルス作。
鮮やかな赤い衣に身を包み、陽気にリュートを鳴らす
道化師の一瞬の表情を捉えた作品はとっても現代的。
荒々しいタッチにも躍動感が感じられますね。

そして今回是非見たいと思っていた
ヨハネス・フェルメールの『レースを編む女』は
警備員が横に立つ物々しい雰囲気の中で透明なケース内に
鎮座していました。
24cm×21cm。現存するフェルメール作品では最小のものです。
斜め上から差し込む光に立体的に浮かび上がる顔立ち。
鮮烈な輝きを放つ黄色の衣。
瑞々しいばかりの手前の赤い刺繍糸。
感動です。
長い時間並んで待っただけの甲斐がありました(涙)。

その他にも夕日が沈む港湾を叙情的に描いたクロード・ロランの
『クリュセイスを父親の元に返すオデュッセウス』や
ペーテル・パウル・ルーベンスの大作
『ユノに欺かれるイクシオン』
鮮やかな衣を身にまとったマリア像、シモン・ヴーエの
『エスランの聖母』。
そしてロウソクの灯りをかざす幼な子キリストの姿を
思案げに見つめる養父ヨセフを描いた
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『大工ヨセフ』等々。。。

閉館間際には次第に人も少なくなり、作品を間近で心行くまで
堪能する事ができました。
正に珠玉の17世紀ヨーロッパ絵画の世界。
美術館のハシゴの疲れを吹き飛ばしてしまうような
素晴らしい展覧会でしたよ。





帰りに平安神宮の西にある京都では有名な洋食屋さん
「グリル小宝」で晩御飯。
カツはサックリ柔らか。ハンバーグはジューシー。

お腹も心も大満足で帰宅の途につきました。


ウィリアム・ケントリッジ@京都国立近代美術館 [アート]

まだまだ厳しい残暑の残る9月5日の土曜日。
朝から真夏を思わせるお天気に恵まれたこの日は久々!
京都市左京区の岡崎公園内にある京都国立近代美術館へと
行ってきました。



''ウィリアム・ケントリッジ'' - 歩きながら歴史を考える
                   そしてドローイングは動き始めた…
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【会場】:京都国立近代美術館[Link]
【会期】:2009年9月4日(金)~10月18日(日)

ウィリアム・ケントリッジは1955年南アフリカ共和国生まれ
ヨハネスブルグ在住の美術家・映像作家。
1980年代末頃から制作を開始した、手書きによるドローイングを
コマ撮りしたアニメーションの作品で世界的な注目を集めるように
なったそうです。

展覧会場はフィルム・インスタレーション3点を含む19点の
映像作品と36点の素描・63点の版画で構成。
展示作品で特に大きなスペースを割いていたのが初期の代表作
『プロジェクションのための9つのドローイング』(1989–2003)。

オフィスを牛耳る太目の白人男性。
薄暗い炭鉱。荒れ果てた荒野。行進する人々の群れ…。
作者自身をモデルとした架空の人物、ソーホー・エクスタインを
主人公として南アフリカの過去の歴史を語ります。

木炭やパステルで描いたドローイングを少しずつ部分的に
描きなおしてコマ撮りするという自ら「石器時代の映画制作」
と呼ぶ手法で作成された映像は、非常に重々しく鬱々としていて
観るものに不穏な空気を感じさせますね。

上映されていた5つの映像作品は入り口で受け取った
ヘッドセットと手元の受信機のスイッチで作品毎に音声を切替える
仕組みで、なるほど!これなら同じ展示室で同時上映が可能。
大きな部屋で一連の映像が映し出される様子も強烈な印象を
残しました。

他にも一連の作品で使われたドローイングや版画の数々、
ショスタコーヴィチのオペラ「鼻」を題材としたパフォーマンス
映像、三脚に乗った合わせ鏡で二枚のドローイングを合成して
みせるオブジェなど充実の内容。
ゴーゴリとケントリッジ、滑稽さと悲哀が同居する作品世界に
相通ずるものを感じます。

近作では奇妙な形をした影絵が列をなして行進する「影の行進」や
立体メガネで観る銅版画、鏡面の円筒に映し出される
アナモルフォーズ(歪像画)の作品など、更にシンプルな初期の
映像手法に立ち帰っているのが興味深かったです。
個人的には初期の南アの歴史的色合いの濃い一連の映像より
こちらの方が好きかな。

2003年の作品。
  気が遠くなるような作業。
  一体どのくらい時間がかかっているのでしょうね。

『Automatic Writing』 -William Kentridge -




美術館へ向かう前に「喫茶六花」でランチを頂きました。
この日のメニューは豚肉とジャガイモの白ワイン煮と新鮮野菜
のサラダ、ゴーヤのおひたし。
健康的、かつボリューム満点。何より素材が美味しい!



飾り気のないシンプルな食器類も良い感じ。
純喫茶的な佇まいでとっても落ち着けます。
最近岡崎公園を訪れる時は決まってここです。
お気に入り。


伊藤志宏solo pianoツアー@神戸CREOLE [音楽]



''伊藤志宏solo pianoツアー@Acoustic live CREOLE''
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【日時】 2009年7月22日(水) 19:45~
【会場】 Acoustic live CREOLE (クレオール) -神戸市中央区-
【出演】 伊藤 志宏 / Piano

5月末に神戸のROUGH RAREで行われたhttp://playlog.jp/miz/blog/2009-06-22[Shima&ShikouDUOの
ライブツアー]の模様を記事にした折にPianoの伊藤志宏さんから
直々にソロツアーの告知を頂きびっくり!!
Shima&ShikouDUOの時とはまた違った演奏になるというお話に
興味津々で再び仕事帰りに神戸まで行ってきました。

JR三宮駅北口から北野異人館方面へ徒歩10分。
ハンター坂の閑静な住宅街にあるCREOLEはアコースティックピアノ
をメインにしたテーブル席40程の小さなライブスペース。
お客さんの顔を見渡すと女子率高し。ていうか殆ど女性じゃ
ないですか?大人気ですね。
ちょっと気後れしながらも演奏している手元が見えるステージ
向かって左側に席を確保。
特に楽屋らしきものもないようで、開演前から客席に座り
とてもリラックスした表情で何やら話し込んでる志宏さん。
「さーて、そろそろ始めますか?」の一言でライブスタートです。
何かとてもアットホームな感じ(笑)。

Shima&ShikouDUOのライブでは超絶技巧に圧倒されっぱなし
だったのですが、ソロではガラッと雰囲気が変わってとても
穏やかで情感たっぷりな感じですね。
でも演奏が乗ってくると思わずメロディを口ずさんでしまう所は
一緒(笑)。
オリジナルの水無月、長月、睦月(だったかな?間違ってたら
ゴメンナサイ)がとっても良かったです。
志宏さんのピアノは不思議と侘び寂びが感じられるような
和の雰囲気がありますねぇ。
開始前は「ライブ中は喋りません。」と断っていたにもかかわらず
曲の合間に色々とお話も織り交ぜて休憩を挟んで前・後半2部構成。
たっぷり楽しませてもらいました。



そういえばこの日の昼間はこんな事がありました。
志宏さんはホテルで爆睡していたそうです(笑)。
何だかもう随分昔の出来事のような気がするなぁ。。。


青木カレン@Billboard LIVE OSAKA [音楽]

公私共々何かと慌しかった今年の夏。
逆に今までになく充実した時を過ごせたと言えるでしょうか。
ここしばらくは、忙しくて書きかけのまま放置していた出来事
についてUPしていこうと思います。
3ヶ月も前の事なんて日記とはとてもとても云い難いのですが
暫しお付き合い下さいませ~!(苦笑)。



''青木カレン with Club Jazz Allstars''
                     @Billboard LIVE OSAKA
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【日時】2009年7月14日(火) 21:30 Start[2nd Stage]
【会場】Billboard LIVE OSAKA (大阪市北区)
【出演】
 青木 カレン / Vocals
 -Club Jazz Allstars-
  島 裕介  (Shima&ShikouDUO) / Trumpet
  伊藤 志宏 (Shima&ShikouDUO) / Piano
  DAISUKE (JABBERLOOP) / Saxophone
  西嶋 徹 (Sunaga t Experience) / Bass
  藤井 伸昭 (SLEEPWALKER) / Drums
【Set List】
 01.LOVE FOR SALE
 02.IT DON'T MEAN A THING
 03.CRAZY HE CALLS ME
 04.WE WILL ROCK YOU
 05.MY FAVORITE THINGS
 06.SUMMERTIME
 06.DINDI
 07.ENGLISHMAN IN NY
 08.SHINING
 09.DEVIL MAY CARE
 -ENCORE-
 10.CLOSE TO YOU

サポートメンバーの豪華な顔ぶれと、何よりその歌声が魅力で
ライブの告知を一目見るなり予約を入れていしまいました。
Jazz Vocalistの青木カレンさん&Club Jazz Allstarsによる
Billboard Osaka初公演です。

ブルーとピンクの色の柄のドレスで登場したカレンさん。
いやー、美人ですね。才色兼備。
1曲目はクールなナンバー『LOVE FOR SALE』でライブの始まり。
アップテンポの曲に早くも体が動き出す。

Club Jazz Allstarsの面々は、それぞれのライブでこれまで何度か
拝見したことがあるのですが、SaxophoneのDAISUKEさんは以前
シロクマのかぶりものをして弾けていたのが嘘のよう。
今回はダンディに決めています。
Shima&ShikouDUOのお二人も、既におなじみ。
この日はメンバー全員ダリアの花を一輪付ける事になっていた
そうなのですが、Trumpetの島さんだけは
「どうしても卒業式の来賓の方になってしまう」そうで固辞。
うーん、言われてみれば確かに(笑)。
SLEEPWALKERの藤井さんのDrumは相変わらず切れ味鋭く
ソロでは多くの拍手が!
Bassの西嶋さんだけは今回初めてだったのですが
バンドを影から支えるお兄さん的存在というカレンさんの
ご紹介の通り穏やかな表情でサラリと演奏をこなしていました。

個人的には「MY FAVORITE THINGS」やQueenの名曲
「WE WILL ROCK YOU」の大胆なアレンジ曲が良かったかなぁ。

最後はPianoの伊藤志宏さんとお二人で「CLOSE TO YOU」。
やはりこういう時Pianoは役得ですね!。
しっとりとしたエンディング。
あっという間の2時間あまりでした。


公演限定オリジナルカクテル「Dahlia」。
ウィスキーベースの華やかなカクテル。
ダリアの花言葉は「可憐」だそうですよ。




『SHNING』 -青木カレン- [試聴]

今回のメンバーの他にIndigo Jam Unitやnative、quasimodeも
プロデュースに参加しており、正にClub Jazz Allstars!
タイトル曲「SHNING」はいかにも中塚 武さんらしいキラキラとした
曲です。

10月は…。 [日記]

お久しぶりです。
気が付けばあっというまに10月ですね。
前回更新から随分と間が空いてしまいました。

実は契約終了のため先月9月をもちまして今まで長きに渡り
お世話になってきた職場を去る事になり、ここひと月あまりは
引継ぎやらなにやらでドタバタとした日々を過ごしておりました。

思い返せばプロジェクト立ち上げ当初から関わってきただけに
感慨もひとしおです。
右も左も分らなかった新しい分野でさっぱりちんぷんかんぷん(笑)
の英文マニュアルとの格闘や、トラブルによる連日深夜までの残業
通勤の不便さ等々…。
これまでにないハードな仕事だった半面、ある程度の自信には
なったかなぁ。

こんなご時世ですので次の職場はまだ決まっていないのですが
これを機会に暫くの間はゆっくり骨休めして、また新たな気概を
養いたいと思います。。。


連休初日。 [アート]

秋の連休は実家に戻って過ごしております。
初日の昨日は江東区にある東京都現代美術館に行って来ました。
朝一から閉館時間まで(ゆっくり観すぎ。笑)
それでも時間が足りない位だったのですが。

穏やかな日が続きますね。
今日も朝から吹く風が心地よいです。

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