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響きあい、連鎖するイメージの詩情@目黒区美術館 [アート]

今回は版画をメインとした展覧会です。
東急東横線中目黒駅で下車、緑豊かな目黒川沿いの遊歩道
を歩くこと20分程。
目指す美術館は図書館や児童館・体育施設などが立ち並ぶ
区民センターの一角にひっそりとたたずんでいました。



線の迷宮(ラビリンス)・番外編
''響きあい、連鎖するイメージの詩情'' -70年代の版画集を中心に
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【会場】:目黒区美術館[Link]
【会期】:2009年8月1日(土)~9月27日(日)

1970年代というのは日本の近代版画が独自の発展を
遂げ、新しい技法やメディアを組み合わせたユニーク
な作品が活発に制作された時期なのだそうです。
この展覧会は目黒区美術館が収蔵する70年代の版画集や
詩画集を中心にその多種多様な試みを振り返るという
版画作品が好きな私にとっては見逃せない好企画!

銅版画、木版画、石版画(リトグラフ)、写真製版
(シルクスクリーン)…。
一口に”版画”といっても実に様々な技法があるものですね。
会場では「1.連鎖するイメージ-黒の詩情」と題した静謐な
モノクロ作品をはじめ、カラフルなシルクスクリーンを中心
とした「2.連鎖するイメージ-色彩の詩情」、
文学と版画のコラボレーション「3.詩画集-言葉と版画」
の3つの章に分けてその多彩な世界が紹介されていました。

個人的には西洋の古い銅版画のイメージが好きなのでやはり
自然と「~黒の詩情」に展示されていた作品に目が行きます。

中でも柄澤齊さんのキリスト教の七つの大罪をモチーフにした
『贖罪領<七つの大罪による>』と、ランボーやカフカ
エドガー・アラン・ポーなど歴史上の人物を取り上げた
『肖像』シリーズに釘付け。(作品→[Link])
以前滋賀県立美術館でも作品を観る機会があり、個人的に
大注目の作家さんです。
嶋岡晨さんの詩に日和崎尊夫さんが版画をつけた詩画集『卵』
も素晴らしかった!

精緻極まりない漆黒の小宇宙。

実はお二人とも木口木版による作品です。

木版画というと、つい浮世絵などに代表されるような
日本独自の技法のように思いがちですよね。

浮世絵の桜の木を縦に切り出した板目木版に対して
別名西洋木版とも呼ばれる木口木版は、輪切りにした
黄楊(ツゲ)や椿、梨、楓などの硬い版木を用い
ビュランと呼ばれる先端を鋭く研いだ刃物で彫って
いくために細かい線による描写ができるのが特徴。
活字と同時に印刷できる事もありヨーロッパでは18世紀
末頃から書籍の挿絵などに盛んに用いられていたそうです。

ひょっとして今まで銅版画と勘違いしていたものも
随分あったのかな?
各技法の版の見本や作業工程を写真付きで解説したパネル
も展示されていてより理解が深まったような気がします。

区立の美術館ということで当初は小規模な展覧会を想像
していたのですが、展示作品も多く思わぬ程充実した内容。
本格的な銅版画用のプレス機を備えた工房もあって
期間中は様々なワークショップも開催されたようですね。
中には柄澤齊さんを講師に迎えて本格的な木口木版画の
体験コースも!
是非とも参加してみたかった…。

今回観て回った中でも1、2を争う展覧会となりました。
連日の美術館巡りの疲れにめげず行って本当に良かったです。


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コメント 13

小梅ねこ

mizさん、こんばんは[山羊座]
版画の作品も細やかなものから、
荒削りでおおらかなものまでいろいろありますね。
版画は、美術や図画工作の授業でやっていた時は、
彫刻刀の扱いが難しくて難儀した思い出ばかりですが、
今になるとちょっとまたやってみたいなぁと思います[山羊座]
by 小梅ねこ (2009-11-06 23:42) 

miz

>小梅ねこさん
こんばんは!
柄澤齊さんや日和崎尊夫さんの作品は細かく
刻み込まれた代表作のようなものでしょうか。
私は手先が不器用なのでああいった作品世界に
特にあこがれを感じます。[嬉しい顔]

展示作品には特に関係ないそうなのですが
「目の休憩」と題して会場の方々に鉱物標本が
置かれていたのも個人的にツボでした。[ぴかぴか]
by miz (2009-11-07 00:08) 

miz

>tttかめらさん
>nampooさん
>悠さん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![ムード]
by miz (2009-11-07 00:17) 

miz

>本物ホネツギマン(アビブ)さん
>decoboさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![ひらめき]
by miz (2009-11-07 18:56) 

miz

>うるはさん
>うららさん
>Macoringさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![かわいい]
by miz (2009-11-08 01:19) 

rose

mizさん^^
今回の記事も なるほど[ひらめき]だらけでした^^
ところで
版画の世界も 素敵なんですね[揺れるハート]
が 今日の感想です[嬉しい顔][かわいい]
by rose (2009-11-08 10:45) 

miz

>roseさん
いつもありがとうございます!

絵筆で直接描かない版画という手法は
絵になるまでの道程が長い分、内省的な部分が
あるのかな?と思いました。
エッジの鋭い線の表現も版画作品ならではですね。

普段喫茶店やカフェなどで目にする機会も多いと
思いますのでちょっと注目してみると面白いかも
しれません。[嬉しい顔]
by miz (2009-11-08 15:55) 

miz

>とらぐぅさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![晴れ]
by miz (2009-11-09 01:41) 

miz

>スージー舞子さん
>スタヴローギンさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![かわいい]
by miz (2009-11-14 18:25) 

ここん

わたしも授業でいろんな版画を体験しました。[ふらふら]版画は難しい!
色んな工程を経てイメージを具現化していく版画の手法は、自分のイメージを直接描いてゆく絵画手法とは全く違い、素材とか技術上の制約が仕上がりに大きく関わってきて難儀しました。
でもその特有の制約から作者が思いもしなかった効果が生まれたりして…きっとそういうのも版画の魅力のひとつなのでしょうね~
by ここん (2009-11-18 12:21) 

miz

>ここんさん
やっぱりかなりの技量が必要とされる技法なので
しょうね。
実際に刷り上ってみないと最終的な仕上がりが
わからないというのも素人目には難しいような
気がします。

会場には綴じられた姿そのままの版画集の実物も
展示されていたのですが、素材や装丁などがとても
凝った作りで、この手にとってページをめくりながら
鑑賞できたらと思わずにはいられませんでした。[嬉しい顔]
by miz (2009-11-18 23:37) 

miz

>riverさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![ムード]
by miz (2009-11-18 23:38) 

miz

>ヒサ(黒)さん
>coconyanさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![嬉しい顔]
by miz (2009-12-21 23:56) 

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