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死なないための葬送~荒川修作初期作品展@国立国際美術館 [アート]

ルノワール展の後は国際美術館のB2フロアで開催中だった
もう一つの展覧会を観てきました。
ニューヨークを拠点に活躍する美術家荒川修作さんが
1961年12月に渡米するまでに日本で制作した初期の立体作品
20点あまりの展示です。



死なないための葬送 - 荒川修作初期作品展
 Funeral for Bioengineering to Not to Die -
         Early Works by Arakawa Shusaku
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【会場】 国立国際美術館(大阪・中之島) [Link]
【会期】 2010年4月17日(土)~6月27日(日)

初めてお名前を意識したのは、確かTVで観た
岐阜県養老町にある荒川さんが企画・設計したテーマパーク
「養老天命反転地」(Link)の紹介番組だったでしょうか。
すり鉢上の箱庭に、エッシャーやデ・キリコの絵の中の世界
を再現したような不思議なオブジェや建物が並ぶ景観に
是非一度訪れてみたいものだと思ったものです。

また、岡山県の奈義町現代美術館[Link]にも
建築家の磯崎新さんとのコラボレーションによる
「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」
という円柱の部屋の側面に龍安寺の石庭を配した作品
(写真を見ただけでちょっとめまいがしそう。笑)もあり
何となく斬新な建築家のイメージが強かったので
会場を訪れるまで今回のシリアスなイメージのオブジェの作者と
全く一致しませんでした。
パンフレットを読んで初めて「あ、そうなんだ~!?」

棺のような木箱に丁重に横たえられた奇怪な石板の数々。
「抗生物質と子音にはさまれたアインシュタイン」
「オパーリン博士の祈り」
「ワックスマンの胸」
「無題」…等々
作品との関連付けを敢えて拒絶するような題名のオブジェが
並びます。
単身アメリカに渡る前にどんな事を考えながらこれらの
作品を制作したのでしょうか…。

古くから世の東西を問わず、埋葬の儀式は死者の復活や
来世での再生等の願いが込められていますが
意味を排したオブジェを埋葬する事により、新たな表現の
飛躍を試みようとする荒川さんの創造の軌跡が観て
とれるような気がします。

その後活動拠点をNYに移し
(渡米直後にマルセル・デュシャンと会見してるんですね)
パートナーの詩人マドリン・ギンズさんを得て
文字や記号を取り入れた「ダイヤグラム絵画」、更には
芸術や科学、哲学を巻き込んだ建築や庭園、都市設計へと
創作活動を広げていく事となります。。。

隣の展示室では『荒川修作と1960-70年代の美術』
と題してちょうどこの時代に隆盛し始めたポップ・アート
ネオダダ、ヌーヴォー・レアリスム、フルクサスなど
既存の表現形式にとらわれない様々な様式の作品が
紹介されていました。
壁を飾っていた荒川さんの巨大なダイヤグラム絵画にも
びっくりです!

あ、その中にちょっと気になった作品がありました。
オランダのアーティスト、ヤン・ディベッツ(Jan Dibbets)さん。
複数の写真とドローイングを組み合わせた
「三枚の写真(遠近法の修正)」(1968)
「サン・カッシャーノの天井」(1979)
なかなか素敵でしたよ。
展示作品とは違いますが…→[Link ]

※先日、荒川修作さんが2010年5月19日ニューヨーク市内の
 病院にて急逝された事を知りました。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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コメント 8

miz

>うららさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![嬉しい顔]
by miz (2010-06-06 21:16) 

miz

>小梅ねこさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![かわいい]
by miz (2010-06-06 22:04) 

miz

>decoboさん
>本物ホネツギマン(アビブ)さん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![ひらめき]
by miz (2010-06-07 23:31) 

ここん

訃報のニュースを聞いたとき、ショックを受けると同時にこの展覧会の事が真っ先に頭に浮かびました。
「死なないための葬送」というタイトルが何かの暗示のような気がして…て考えすぎか。最後の最後まで荒川らしいかも。
ますます岐阜&岡山訪れなきゃと思いました。
by ここん (2010-06-09 23:48) 

miz

>ここんさん
私も展覧会を観た後に興味を持ち、図書館から
荒川さんの著作「意味のメカニズム」を借りてきた
直後だったので非常に驚きました。

養老天命反転地と奈義町現代美術館、是非
行ってみたいものです。[嬉しい顔]
(あ、三鷹の天命反転住宅も!)
by miz (2010-06-11 00:00) 

mignon

ごめんなさい、この記事見逃してました、大分前ですね[飛び散る汗]養老天命反転地が気になります。
ちょっと足を伸ばせばすぐですね。
それから私のたくさんの記事を読んでくださりありがとうございます。
美術、芸術系の記事が最近書けてないですが、これからも宜しくおねがいします[ぴかぴか]
by mignon (2010-07-01 00:51) 

miz

>mignonさん
いえいえこちらこそ、コメントもせずに申し訳ないです。[汗]
養老天命反転地、最初は地方のうら寂れたテーマパークか
何かかと思っていたのですが、とても面白そうですよ!
子供から大人まで楽しめそうですので是非。
転ばぬよう運動靴は必須だそうです(笑)。

ここにきてようやく身辺も整理がつきそうなので
これからはもう少し頑張って記事を更新していきたいと
思います。
私の方こそどうぞよろしくお願いしますね![嬉しい顔]
by miz (2010-07-01 01:19) 

miz

>スージー舞子さん
>T.Spyderさん
[ハート]マーク、ありがとうございます!![ムード]
by miz (2010-07-03 21:54) 

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